本章では、経済面から「ビットコインのような暗号通貨(仮想通貨)はこれから通貨として発展するか?」を検討します。しくみをきちんと”理解”するために読む情報技術面の話と異なり、経済面の話は、たくさんの人たちがビットコインのような暗号通貨を「通貨として認めるかどうか?」で結末そのものが変わってきます。

一人ひとりが、いろいろとある考え方のどれに”納得”するかがポイントになります。そこで、読者が自分自身で、ビットコインのような暗号通貨を使うかどうかを選ぶうえで、本章を参考にしてもらえればと思います。

なお、ビットコインが”世界統一通貨”になる可能性はきわめて低いと考えられます。ですから、既存の国家通貨やさらに新型の通貨などと共存するなかで、ビットコイン(あるいはその後継型の暗号通貨)がどう発展するかを考える必要があります。そこで本章では、「ビットコインの登場が世界の通貨制度全体にどんなインパクトを与えるか?」を中心に検討します。

いくつかの大きな変化の可能性を示しますが、過去にまったく前例がなかったSF風の話ばかりを展開するつもりはありません。むしろ、アイザック・ニュートンが生きた前後の時代に、イギリスを中心とするヨーロッパで起きたこと、その同時期に、江戸時代だった日本で起きたことを参考にします。ロ世紀から回世紀にかけてのイギリス・フランス・オランダ・日本で、通貨・金融制度の試行錯誤がいろいろとおこなわれていたからです。

じつは、金本位制や中央銀行制度の成立・普及に、ニュートン自身が深く関わっています。そして、ビットコインのような暗号通貨が発展したときになにが起きるかを考えるには、江戸時代の日本の通貨制度がとても参考になります。通貨あるいは貨幣と呼ばれるものがいったい何なのかは、本当にむずかしく、人々の心理に強くかかわる話になりますから、突き詰めようとすると、抽象的な話になりやすいのです。だからこそ、過去と現在の具体的な事実になぞらえて説明することで、実感を得やすくしたつもりです。